いつでも帰るべきは原点

製品設計部 ジェネラルマネージャー
稲田祐一

プロの信頼に応えるブランドとして

ワコムのブランド製品開発を統括しています。もともとはハ ードウェアのエンジニアでしたが、電子回路の設計、さらに ソフトウェアの開発、商品企画を経て現在に至ります。 日々、新たな商品や技術の開発を進めていますが、その中 で、ワコムに対するプロフェッショナルのクリエイターによ る信頼の重みについて考えさせられることが多くあります。

ワコムのテクノロジー
その中心になるもの

ワコムの持つキーテクノロジーは、いわゆる電磁誘導方式に なります。これはセンサーから電磁波を送信し、ペンから送 り返された信号を受け止め、それをどのようなアルゴリズム で分析し、電子ペンの機能、性能を実現するかという技術で す。そして、このテクノロジーのクオリティこそが、ワコム に対するプロフェッショナルの信頼の核になっていると考え ています。この技術は、一見シンプルなようではあります が、これがそう簡単なことではないのです

感覚をいかにデータ化するか

まず、情報を読み取るためのセンサーの性能など、ハードウ ェア側に技術のハードルがあります。この部分が鈍感であれ ば、明確な信号を採ることができません。その信号をソフト ウェアの側で分析し、データとして出力します。しかし信号 の分析と出力は単純なものではなく、人間の持っている感覚 とデジタルとの擦り合わせが必要になってきます。

デジタル技術と人間の感覚のはざまで

たとえばIntuos Proであれば、筆圧を2000以上にも分解し て解析しますが、その詳細な数値をそのままストレートに出 力しようとすると上手くいきません。人間の手には非常に繊 細な感覚と微妙な傾向とがあり、データを敢えてグラフ化す ると一直線ではなく、独特のカーブが出てくるものなので す。ハードウェアが返す単純なデータと、データ化が難しい 人間独特の感覚とをどのようにつなぎ合わせて出力量に変化 を出すか、それによって「描き味」はまったく異なってきま す。この部分の技術と経験こそが、ワコムの持つ最も大きな アドバンテージと言うことができるかもしれません。

ワコムへの信頼に応えるためには

われわれ開発陣は、ワコムの持つブランドの重みについて考 えなければなりません。われわれにはブランドの重み、そし てクリエイターの長年の信頼に応えるべく、最高のものを提 供していくという義務があります。この意識は、商品開発、 技術開発はもちろん、マーケティング、販売、全ての社員に 浸透している必要があると思っています。

成長性への期待そして可能性

もともと私は以前はあるAVメーカーに在籍していました。日 本で6年、その後北米に移動して10年を過ごし、日本に戻っ たのちにワコムに入社しました。その中でわかったのは、ワ コム製品をめぐる市場の状況、技術の状況も含めて、われわ れにはまだこれから成長させていくべき部分、そして大きな 可能性があるということでした。

書く/描くことの普遍性

言うまでもないことですが、書く/描くということは人類の 持つ普遍的な行動のひとつです。われわれは紙と鉛筆の関係 をデジタルの世界で実現し、それを時代に合った形で発展さ せていくことを目指しています。しかし、一度立ち止まって 考えると、これはいったいどのような行為なのか?と思わさ れるのです。プロのクリエイターの「描く」もある。そして われわれの日常の暮らしのなかにも「書く」ことの機会は溢 れています。

様々な“クリエイティブ”を追い求めて

いつでも返るべきは原点です。紙と鉛筆になにができるの か、紙と鉛筆はなぜ便利なのか、そしてわれわれの生活の変 化に沿って、紙と鉛筆そのものがどう変わっていくのか。も ちろん書く/描くということはクリエイティブな行為です し、クリエイターの方々が作り出す作品もクリエイティブで す。しかし、様々な変化の中で生きることそのものも、大変 にクリエイティブな行為だと思うのです。たとえばBamboo は、そのような意識のなかから一般の方たち向けに生まれて きた製品と言えるかもしれません。

描く/書くことの未来を

きっとワコムの持つテクノロジーのこれからの発展の仕方、 さらなるヒントも暮らしの中に見つかるのかもしれません。 プロフェッショナルのクリエイションの部分はもちろん、日 常のクリエイションも同時に重視していきたいですね。ひと つだけお話しすると、今、われわれが考えていることのひと つには、クラウドを使えば誰もが同時にいろいろと書き込む ことができるな、ということがあります。このアイデアがど のようなライフスタイルを生み出すか、私自身も楽しみで す。ポテンシャルは十分にあります。これからのワコムに注 目してほしいと思いますね。

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