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2014/02/27

【プレスリリース】 ワコム、OSやアプリの境界を越えて手書きのインクデータを自在に活用する フレームワーク「WILL(Wacom Ink Layer Language)」を新たな業界標準として提唱

株式会社ワコムは、ユーザーが作成した手書きインクデータ(=「デジタル・インク」)をコンピューターのOS(Operating System)やハードウェアプラットフォーム、アプリケーション・ソフトなどの垣根を越えて、互換性を気にせず自在に共有し活用できる仕組みを開発、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress」において発表しました。

ワコムは、この仕組みを「WILL(Wacom Ink Layer Language)」と名付け、デジタル・インクにおける新たな業界標準とすべく提唱します。また、数多くのハードウェアやソフトウェアのメーカー、サービス事業者、さらにはシステムプロバイダーなどに幅広く採用を提案し、各社から提供される商品、ソフト、サービスを含む「エコシステム」に、WILLを組み込むためのSDK (Software Developer’s Kit) (※)の提供も合わせて開始します。

これまで、コンピューターにおける入力は、キーボードが主に使われてきました。しかし、思考を形にしたり、クリエイティビティを表現する際には、いまだ手書(描)きに依るところが多く、それがより自然で使いやすく、普遍性が高いこともまた事実です。今日では、スマートフォンやタブレットの多くが、メモやスケッチの手書き入力に対応していますが、これらで扱うデジタル・インクは、異なるOSやアプリケーション・ソフト、ハード間では互換性がなく、ユーザー同士が自在に共有・活用しあえる状況ではありません。

この状況を打開するには、OSやソフト、ハードなどの制約を超えて、クラウドサービス上でも扱えるデジタル・インクの普遍的かつオープンな業界標準が必要でした。WILLは、すべてのモバイルデバイスに対応する、シームレスな(=途切れのない)デジタル・インクの利用を可能にする仕組みで、ワコムが広く業界各社に採用を働きかけるものです。

「世界に変化をもたらすのは、人々が作り出すアイデアのパワーであり、ハードウェアやソフトウェアではありません。アイデアこそが、私たちの未来を創る真のコンテンツなのです。」ワコムの社長兼CEO山田正彦は、アイデアを表現することの重要性について、このように述べています。

今日では、アイデアの多くは手書きで作成され、デジタル・インクで生成されます。WILLによって、すべてのユーザーはデジタル・インクの互換性を気にすることなく、アイデアを作成・共有・編集するなど、自在に活用することができるようになります。

※「WILL」のイメージビデオはこちらから:
ワコム デジタルインクで広がる新しいライスタイルの世界へ

さらにWILLでは、手書きストローク(筆跡データ)をストリーミング送信することも可能なため、ノートテーキングやグループでのコラボレーション(共同作業)はもとより、世界中に散らばったメンバー間でリアルタイムにファイルを共有・編集しながらブレインストーミングを行うことなども可能となります。

また、WILLに「メタデータ」を組み合わることもできるため、筆跡データを活用したセキュリティー管理や注文書のサインなどといった業務用途、地図や写真データと連動した旅行日記の作成など、無限の広がりを持っており、これまでには得られなかった多くのベネフィットを提供可能となります。

WILLは、入力ツールを選びません。そのため、指によるタッチ、ワコム及び他メーカー製のデジタルペンによる入力をもサポートします。また、今後ワコムが提供するハード、ソフトの各商品や技術にもWILLが採用される予定です。たとえば、「Bamboo Paper」という手書きメモソフトに組み込むと、友人が作成した手書きスケッチを上書き編集し、送り返すことも簡単にできるようになります。

ワコムは、「for a creative world」のメッセージの下、人々がクリエイティビティを発揮するための様々なツールを提供することに注力してきました。さらにWILLを業界標準に提唱することにより、「Creative Ideation (アイデア形成・共有・活用までの一連のプロセス)」の領域でも商品・サービスの提供を広げていきます。

ワコムは、「モバイル機器をデジタル文房具として使い、デジタルペンを使って手書き入力する」といった使い方が、近い将来、あたりまえの日常シーンの一部になる時がくることを確信しております。WILLはその実現へ向けた重要な第一歩であり、これを業界標準として提唱し広く採用を呼び掛けることで、来るべき「デジタル文房具」の時代へ向けた取組みをリードしていきます。


(※)WILL SDK

WILL SDKは、既存のほとんどのプラットフォーム上で一貫したデジタル・インクの体験を提供する「インクエンジン」を有し、種々のグラフィックス・ツールやインク機能を備えています。WILLが提供する「インクデータフォーマット」により、利用するデジタル・インクに関わらず手書きストローク(筆跡)を表現することができます。また、各種ハードウェア機能との接続や活用を可能にするAPI(Application Programming Interface)も含みます。

※「WILL」についての詳細はこちらから: will.wacom.com


<お問い合わせ先>

株式会社ワコム 広報室

Tel:03-5337-6702

E-mail: wacom-pr(at)wacom.co.jp