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2018/11/29

ワコム 認知症初期の簡易検査研究で、新潟医療福祉大学、コクヨと協力  -『電子下敷』で手書きの筆跡をデジタル記録し、時計描画の筆記検査に活用-

株式会社ワコムは、学校法人新潟総合学園新潟医療福祉大学(本部:新潟市/学長:山本 正治、以下新潟医療福祉大学)および、コクヨ株式会社(本社:大阪市/社長執行役員:黒田 英邦、以下コクヨ)と、時計描画の筆記試験による認知症初期の簡易検査研究で協力します。

この研究は、コクヨの『電子下敷』とワコムのデジタルペンにおけるノウハウを持ち寄り、被験者の手書きの筆跡を、デジタルで経時的に記録してデータベース化し、新たに開発する検査用ソフトウェアで分析する仕組みを構築するもので、新潟医療福祉大学の児玉直樹教授がこれまで行ってきた認知症検査研究の実用化へ向けての進展が期待されます。

現在、運転免許証更新時の認知機能検査などで採用されている「時計描画試験/CDT1」では、設問に対して、被験者が回答用紙に答えを記述します(下図参照)。

【例】 「1010分の時計の絵を描いてください」という設問に対する複数被験者の回答

上記試験では、どの程度正確に記述できるかによって、被験者の認知機能のレベルが計測できますが、書き終わった「結果」だけが計測の材料となります。しかし実際の検査では、被験者は常に一定ペースですべてを記述しているわけではありません。考えたり、迷ったり、書き直したりと様々な「経過」をたどって「結果」に至ります。

三者の協力による研究では、電子下敷を使って被験者の回答の「経過(過程)」も含めて記録したうえで分析され、さらにペンの動き(筆圧、方向、速度)もデータとして捕捉できるため、はるかに多くの情報を用いてより精密な検査を行うことが可能となります。

 

コクヨの『電子下敷』は、ワコムの技術をベースに、紙の帳票に手書きで記した内容を瞬時にデジタルデータに変換し、コンピューターで処理できる入力支援ツールです。「紙に書く」という、これまでと同じ作業で検査を行うため、この方法を導入した場合でも、被験者側の作業には変更はありません。一方検査者側では、上述のように計測・判断に必要となる様々な情報を、簡単に取得することができるようになります。

20135月時点の国内認知症患者は、65歳以上で約462万人といわれています。これに、軽度認知障害(約400万人)を加えると、4人に1人が何がしかの症状を抱えており2、早期発見とより高精度の検査への要望は日に日に強まっています。本研究の持つ可能性や意義などについて、1130日(金)に六本木で開催される「コネクティド・インク東京」のブレイクアウト・セッション(テーマ【316:0016:30)にて、コクヨとワコムでプレゼンテーションを行います。

1 Clock Drawing Test:時計の絵および指定された時刻に針を配置する描画検査。
2 出典「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(平成255月報告)

1130日開催、「コネクティド・インク東京」について
「コネクティド・インク東京」は、株式会社ワコムが主催するデジタル文具普及のためのパートナーイベントです。今年で
3回目となる当イベントは、IT(情報技術)、文房具、教育、AI(人工知能)など業界の垣根を超えた活動とグローバルな広がりの2点において、大きく進展しました。本年は、株式会社ワコムのスピーカーがリードする基調講演(10:0012:00)とスポンサー企業によるブレイクアウト・セッション(13:3017:00)の2部から成り、世界各国のパートナー企業各社から多彩な顔ぶれの代表者が、スピーチやプレゼンテーションを行います。

「コネクティド・インク東京」の詳細は下記特設ウェブサイトよりご覧いただけます。
http://connectedink.wacom.com/ja/

 

【ワコムについて】
株式会社ワコム(東証一部: 6727)は、デジタルペンの技術を通して、「デジタルで描(書)く」体験をお客様の様々な二ーズに合わせてお届けする、「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」です。ワコムのペンタブレット製品は、全世界150以上の国と地域で、映画制作や工業デザインのスタジオ、デザイナー、マンガ家などのプロクリエイターから、趣味でイラストや写真加工を楽しまれる方まで幅広くご愛用いただいております。また、「書いて学ぶ」ことが欠かせない学校や塾など教育の現場、医療現場での電子カルテ等の記入、金融機関等での各種申込書、クレジットカードの電子サイン用にも、ワコムの製品は使用されています。さらには、オフィスや家庭で使われているデジタルペンを搭載したパソコン、タブレット、スマートフォン向けにもワコムのペン技術をOEM提供しており、多くのモバイルIT機器に搭載いただいています。 ワコムはこれからも、最先端技術との連携も視野に入れた新しいデジタルペンの体験と価値をお届けしてまいります。

 

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株式会社ワコム
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E-mail: wacom-pr@wacom.co.jp