コネクテッド・インクは止まらない

コネクテッド・インクは止まらない

宇宙の響きに導かれ、岩手県花巻市のアーチスト、小林覚さんの作品が27時間をかけて世界を飛び回りました。その間にたくさんの創造的な混沌が紡がれ、コネクテッド・インク2021が終了しました。

興奮と、脱力感と、問いかけから生まれた皆さんひとりひとりの発見や戸惑いを残して、コネクテッド・インクは、またしばしの眠りにつくのでしょうか。

どうやらそれは間違いのようです。

コネクテッド・インクにて発信がなされたいくつかの新しいチャレンジは、その後も着々と歩みを進めていて、その成長の軌跡を発表するチャンスを探っていました。

ひとつめのチャレンジが、“MINAMOTO” – ものの源泉を意味する源(みなもと)から名前が付けられたフィギュア原型師によるコミュニティです。2021年のコネクテッド・インクにおいて、産経新聞社が主催するポップ・カルチャー・アート展「絵師100人展」とのコラボレーションを発表しました。

原型師と絵師とが、それぞれの未完成作品を交換して、互いの創作物の余白をイメージしながらそれぞれの手法で完成を目指す「軌跡と交錯」のプロジェクトがスタートしました。プロジェクトによって3組のペアが決められ、すでに制作の行程も中盤に突入しています。

プロジェクトに参加する一人の原型師は、その作品として「共生する」生き物の擬人化フィギュアを作りながら、次のように語っています。

「共に影響しあってより良い生き方をする今回のフィギュアを見て、絵師と原型師もそんな関係になりたいと思う。」

一般社団法人コネクテッド・インク・ビレッジが、ワコム、福祉実験ユニット・株式会社ヘラルボニーとともに取り組む“コール・アンド・レスポンス”のプロジェクトからも、新しい作品が次々と生み出されつつあります。

コール・アンド・レスポンスとは、ヘラルボニーが届ける異彩作家からの呼びかけ(コール)に対し、クリエイターはどう呼応(レスポンス)し、表現を生み出すのかを追求する実験的プロジェクトです。 表現者たちの表現に対する欲求は、障害や健常という概念をものの見事に打ち砕いていきます。この取り組みによって、全く新しい価値軸をもった表現作品の誕生が期待されます。

今回、茨城県で活動をする作家・高田祐さんが『迷路』という名の5作品を用いてあらゆるジャンルのクリエイターたちに呼びかけをします。それを受け止める側は、はたして迷路の迷いから抜け出し、レスポンスする用意は整ったのか、それともまだ迷いの真っただ中なのでしょうか。

これらに加えて、コネクテッドインクのパートナーであるmui Labと仕掛ける体験実験「キャビン」の進捗をアップデートしていきます。コネクテッドインクビレッジ東京に出現している実物のキャビン(小屋)を紹介しながら、どうやって人の「佇まい」や「気配」をデジタル技術で表現していくのか、その挑戦についてmui Labとワコムが開発した、家族で使う住まい用の「柱の記憶」を含めて語っていきます。

「アフター・コネクテッド・インク」が2022年2月、東京から始動します。その後も世界各地から同様の「アフター」が誕生していく予定です。コネクテッド・インクは、アフターを通して継続的な発信の仕組みを模索しながら、着々と次の大一番・「コネクテッド・インク2022」に向けてエネルギーを蓄えていきます。

文責:桧森陽平(コネクテッド・インク・ビレッジ)

イベントの詳細

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